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講師インタビュー 大前 和徳

大前 和徳

北海道大学経済学部経営学科を卒業後、北海道拓殖銀行、中央信託銀行を経て、ネット金融グループにてネット金融の幅広い業務を歴任後、多国籍チームからなる金融ベンチャー、エクスチェンジコーポレーションにてソーシャルレンディングAQUSH(アクシュ)事業を統括。その後、日本クラウド証券社長として投資型クラウドファンディングサービスの構築に取り組んだ。英国ランカスター大学にて経営学修士号(MBA)取得。

「20代で頭取賞をもらった。社内でも高評価だった。
『自分は、他でもきっと通用する』と思ってたんです。」

先生ご自身がMBA取得を目指された動機

ー銀行員として活躍した20代、会社での評価もすこぶる高く、頭取賞も受賞。
自身の勤める拓銀の破綻に直面し、転職エージェントのキャリアカウンセリングを受けることに。

「そのときに自分の履歴書がまあピカピカだと思ってたわけですよね。頭取賞をもらったり、会社でも評価されたりしてましたから、自分は、『他でも、きっと通用する』と思ってたんです。でも、実際そういういろんな人にあたってみると、「あなたは、あくまでも銀行の看板でやってきたに過ぎなくて、『あなた自身』の評価は、他の会社の人にはわかりませんよ」と言われました。そういう評価をもらった時に、自分の価値をどう客観的に見せることができるかな、と。20代でまずビジネスマンとして一生懸命頑張ってきた中で、先を考え、もう一段自分の人間の幅を広げたい。英語の力をつけたい。海外で通用するビジネスマンとして力をつけていきたい、というのがありました。自分が学んできたビジネスのものを、よりロジカルにまとめあげる。自分がやってきた行動が、具体的に、その経営学との関係がどういうふうになっているのか、整理整頓したいなというのがあって。自分ではもう、「ビジネススクールに行かないとこの先のキャリアは無い」というぐらい、ものすごい『切迫感』と『危機感』を持ってビジネススクールに行くことを選びましたね。

ービジネススクールにいくことで、
転職エージェントで言われた「アピールできるもの」をしっかり確立させるという目的があった。

対外的なアピールとして、MBAを取ることによって自分のキャリアの中で履歴書に語るべきものが加わるだろうと。逆に、対内的には自分の一層のスキルアップをしたいという2点がきっかけでした。イギリスに行って、予想外のことに対する対応力がものすごい増したかなって思います。

ランカスター大学のMBAを選ばれた理由

私の場合は企業派遣ではなく自費留学だったので、時間的にも金銭的にも制約がありました。あとは、銀行員時代にアメリカに研修に行かせてもらったことがあったんで、まぁ変な話、アメリカはわかったぞと。次はやはりヨーロッパをみないとダメだぞ、と。そういった要素から、経済的な観点とジオグラフィックなバランスの観点から考えた結果、短期コースが主流のヨーロッパのビジネススクールに行こうとなりました。その中で、更に英語環境の国として、イギリスとなり、イギリスにもいろんなビジネススクールがあるんですけど、まず学校のいわゆるReputationやランキング、そして、自分の懐具合とを天秤にかけて一番ベストマッチングするところが、ランカスター大学だった。それに、願書を提出してからのオフィスとのやりとりで、フレンドリーに対応してきてくれた。やっぱり、海外の学校に行こうってときには、不安じゃないですか?ホスピタリティを出してきてくれてるかどうかっていうのは重要でしたね。もう大学事務局のWelcomeな姿勢がすごく気に入って、自分にとっては選んだ大きな要因だったと思います。

ご自身のMBA課程体験談

海外にいるということで、予想外のことが、次々起こる。「対応力」がものすごい増したかなって思います。それは生活の面ですね。ビジネススクールに関していうと、国籍が非常にバラエティ豊富で、20数カ国ぐらいから集まってた。あと年齢層も20代の半ばから50代まで非常に広くて、業種のバックグラウンドも多様で、言語背景も全然違う。こういう人たちが1つのところに集まってくると「本当に世の中にこんなにいろんな人がいるんだなぁ」ってことを肌で感じて。そういう人達を知ったことが大きな学びでした。あとは、みんなやっぱりフルタイムのビジネススクールだから、会社を辞めて来てるので。なんらかの『ハングリー精神』だとかいままでの自分の『ライフチェンジ』と思ってきている人達がいたのでそこの『危機感の共有』が非常に強かった。大変なことが多かったんですけど、同じ釜の飯を食った仲間として連帯感が非常に強かったですね。勉強に関しては、もちろん英語の授業で、ついていくのが大変だった。すごく苦労した一方で、自分が望んでやったものだし、自分が好きなビジネスの話ですし、毎日が眠たかったり大変でしたけど、楽しくてしょうがなかったですね。こんなに楽しいのかってぐらい。学んでいることが本当に楽しかったですね。ビジネススクールの勉強が楽しかった。英語について言いますと同じアジア人でも韓国人や中国人、インド人と海外で、日本人が一番英語ヘタで、これにはちょっと愕然としつつも、反骨精神で「頑張んなきゃだめだぞ」っていうのがありました。ビジネススクールでは、それぞれのメンバーが、その国を代表しているから、日本の地ではどうなんだとか、あるいはアジアの地ではどうなんだとか。っていう話になってきたときに、やっぱりきちんと自分達の立場・考え方を擁護しないと、「あぁ、やっぱり日本て、こうなんじゃん。」と「やっぱり日本人は、ローバー・ミニまねて、ホンダのシビック作ったんだろ?」と言われちゃうわけですよ。なんでもまねして、お前らまねばっかりしてるだろ、とそういう認識になるわけですよ。だから、そういうところでね、ちゃんと「語る」場面でその人の人間力だとか英語力だけではない、「ちゃんとここで、自分が伝えなきゃいけないんだ」ということが非常に重要だということを感じましたね。

停電が多いんです。イギリスでまったく動揺しないんですね。日本人が動揺することよりも動揺しないです。日本人は、「すべてが順調に運ぶという前提」の中に生きています。何かの不確実なことが起きたときの対応が、弱いなと。向こうの人たちは平然としてます。そこのところが驚きでもあったけれども、動じなくなるということが出てくる。そういった面で身につけられたことが活きたというのは、日本に戻ってからありますね。あと一方で、日本が優れているものもたくさん見ましたね。約束を守る、時間にきっちりしてる、言われたことはちゃんとやる。そこは日本が優れています。グループワークの中でも、ちゃんとテーブルに座ってみんなでディスカッションをしてゴールに向かっていこうという姿勢が、日本人です。日本人として当たり前だと思っていることが、当たり前じゃないってことを見直す。前提を設けないことが大事。ヨーロッパに限らずね、ラテンや南アフリカの人たちはこうだとか中国人はこうだとか、信じられなかったけど多様な組織のなかで、国の特性も違うので。ちゃんとやろうと注意したら「何が悪いんだ?」と言われる感じ。そういう前提をね、日本人として当たり前だと思っている『ステイタスクオ』が、当たり前じゃないってことを見直すきっかけになりましたね。『前提を設けない』 『ゼロベースで考える』。それが大事だと気づきました。